消費増税現場から(その3)~8%or10%?~

1. 観光地の現場から

先日、増税後初めて観光地を訪れました。入口の近くに茶店があり、店の前にはテーブルや椅子が置いています。冒頭写真のごま大福を注文し、支払金額は350円ぴったりでした。
レシートが出なかったので分かりませんが、お店は何%の消費税で処理しているのか気になります。国税庁のQ&Aによると、テーブルや椅子に店の管理が及んでいて、そこで飲食させるのであれば10%です。ごま大福の税込350円に含まれる消費税は、8%なら25円、10%なら31円です。実際の計算はいろいろありますが、お店はこれを税務署に納めなければいけません。
また別の観光地でも茶店に入り、店内で飲食しました。ここは名物のお餅が主力メニューのようですが、ご当地バーガーやフライドポテトも出しています。店内は席数30席ほどで、座敷もありました。店頭で持ち帰り販売をしており、客の7~8割が持ち帰りで買っている感じです。
どちらも8%と10%に分けて処理するレジシステムではなさそうで、区分することは難しいでしょう。
外食チェーン店などではシステムが入り、従業員教育もされていると思いますが、複雑で対応しきれない事業者もたくさんいると思います。国税庁HPの「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」には、問いが121個もあります。ここに当てはまらないものもたくさんあるでしょう。メディアではほとんど報道されませんが、事業者のコスト増と税務リスクはもっと知られてほしいです。

 

2.消費増税現場から~キャッシュレス還元その後

10月にキャッシュレス還元店舗で利用したクレジットカードの明細を確認しました。

このカードはポイント還元ではなく、次月の請求額から還元分を差し引いて請求する仕組みです。11月1日付で10月利用分の消費者還元として、182円が請求額から引かれています。経済産業省のHPによると、「対象となる登録加盟店数は10月21日時点で約61万店」だそうです。同じ買い物をするならお得になるので、まだの方はやってみたらいかがでしょうか。ただ次の点には注意が必要です。

  ~キャッシュレス還元で陥りやすいワナ~
・還元を受けたいからといって、買い過ぎて浪費してしまう
・還元されたポイントを使わず、眠らせてしまう
・元の価格が高く設定されていれば、還元されても支払額は多くなる

私も10月は5%還元される店でいつも以上にお酒を買ってしまいました…

 

3.消費増税現場から~価格表示その後

9月4日【駐車料金が10円単位に!】で書いたタイムズ駐車場の料金が、少しずつ変わり始めました。

タイムズにとって、駐車場収入は20分100円(10円は預かり消費税)です。看板の変更が済んでいないところで税込100円の場合、会社は1割引きで提供していることになります。10月については看板の変更が追いつかず、増税分の2%を値引きした形になっている駐車場が多いのではないでしょうか。
スーパーなどの小売店では、本体+税という表示がよく見られます。しかし、消費税法上は税込価格が原則なのをご存じでしょうか?(消費税法63条)
国税庁HPの「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」p.80にも「税抜価格を表示する方法は2021年3月31日まで」と記載されています。この税込表示の対象は、不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示するときです。約1年半後には税込価格に統一しなければなりません。
今は「100円+税」と表示している100円寿司は「110円寿司」となるのでしょうか?外食や小売店にとっては、頭の痛い問題です。