消費増税の現場から

1.消費増税現場から

2019年10月1日、消費税が10%に引き上げられました。

テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」は、番組中に午前0時の瞬間を生中継していました。番組で値札交換作業が中継されていたローソン江戸川瑞江一丁目店は、事務所から車で10分ちょっとのところです。24時間営業のスーパーで準備のために閉店しているところもありました。

私もポイント還元を調査すべく、コンビニでチーズと酒を買ってみました。コンビニに入ると、イートインスペースで食べている方がいらっしゃいます。店内には「店内飲食の場合は、レジでご申告ください。」の掲示があり、精算時に「店内で」と言ったのかが気になります。

ポイント還元を受けるべく、クレジットカードで支払いました。合計311円から2%の6円が値引きされて305円の支払いになっています。

キャッシュレス還元を目的に無駄遣いをしては本末転倒ですが、支払方法を変えるだけで支払額が減りました。きちんと管理できるなら、消費者としては使わない理由はないかもしれません。ただポイント還元の場合は、ポイントを貯めることが目的でなく、ポイントを使って支払額を減らすことが目的です。せっかく貯めても期限切れになっては、意味がありません。

また、このポイント還元は2020年6月までの期間限定です。店やカードによって使えるカードや還元内容も様々なので、事前に確認する必要があります。

9/4に投稿したタイムズ駐車場の動向が気になり、注意して看板を見ていましたが、10円単位に変更されている駐車場は見当たりませんでした。やはり一斉には無理なので、順次対応していくと思われます。ただし、10/1から変更するまでは値引きになってしまうので、業績に与える影響が気になるところです。

 

2.ポイント還元の落とし穴

9月25日頃、インターネットで税込み17,280円(税抜き16,000円)の商品を買おうと決めました。急ぎでなかったため、2%増えても5%還元されると思い、10月に注文することにしました。

10月1日、値段を見てみると、税込み18,120円(税抜き16,472円)です!

送料無料(代金に含まれている)だったので、送料やその他経費の増税分を転嫁したと言われればそれまでですが、ポイント還元を考慮した支払額は17,214円でほとんど変わりませんでした。

 

3.お店側から見たポイント還元事業

消費者側の目線で見てきましたが、お店側から見ると「やらないと損」とはなりません。すでにキャッシュレス決済を導入しているところは別にして、今まで現金しか扱っていないお店にとってはメリットばかりではありません。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会が挙げている事業者のメリットを検証します。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会https://cashless.go.jp/franchise/

メリット1の端末代金の負担なしはメリットです。メリット2とメリット3は集客力が上がり、手数料分以上に利益が増えればメリットがあります。しかし、決済手数料の全額を補助してくれるわけではないため、利益構造が変わらなければ、自己負担の決済手数料分だけ利益は圧迫されます。また、2020年7月以降はどうなるか分かりません。

メリット4は、現金をやめてキャッシュレス一本にするのであれば、業務効率化になります。家族以外に現金を扱わせたくない小規模事業者にはメリットでしょう。しかし、一気に現金を廃止するという選択は取りにくく、逆に業務が増えることが容易に想定されます。そして、レジ担当がキャッシュレス業務を覚える必要があります。10月1日のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」でも、高齢の母親が店番をするときに困るといった声がありました。

キャッシュレス対応店舗にどれだけ客が流れるか分かりませんが、還元だけが目的の人は、期間が終了すると使わない可能性もあります。キャンペーン時に盛り上がるだけでは、キャッシュレスが浸透するには時間がかかるかもしれません。